山本 譲司著 ポプラ社 ¥1,575

この本、先日テレビ朝日系「報道ステーション」を見ていたときに
著者が取り上げられておりまして。
それでちょっと興味を持ってはいたのですが、
なかなか本屋でも見つからず半ば諦めていたのです。

ところがどっこい、とうとう本屋で見つけまして。
他にも興味をそそられる本はいっぱいあったものの、
この本に対する興味の強さが、私にこの本をとらせました。

ちなみに著者は元衆議院議員で、秘書給与流用で捕まえられて、
実際に懲役1年6ヶ月の実刑判決を喰らい、刑務所に入れられたのです。
そんな、彼の刑務所生活を中心に描かれていたのがこの本。

よく「国会議員、選挙落ちれば ただの人」と言われたりもしますが、
国会議員という周囲からチヤホヤされる職業から、
自らが起こした不祥事とはいえ、選挙ではなく、法の名の下に
国会議員ではなくなり(とりあえず形は自主的な辞職)、
挙句「犯罪者」にまで成り下がってしまった、その胸中はいかばかりであったものか…。

ただね、この人学生時代辻本清美元議員と同じゼミだったらしい。
しかも、その時の担当教授も後に議員になっているようなので、
一つのゼミから3人議員になった人が出て、しかも2人が辞職、
辞職の内容がお互い秘書給与流用と言うのがなかなか笑わせてくれました。

 
この本、刑務所に入る時から、釈放される時までが描かれています。
いや、厳密に言うと彼の半生がそのまま描かれている本かな?

読んでて思ったのですが、
刑務所には「障害者」も数多く入所しているようですね。
体が不自由だったり、耳が聞こえない、目が見えないetc
ついでにボケ老人とかがいたり。

どうも仮釈放になる人よりも、満期まで刑務所にいる人のほうが再犯率が高くなるようですね。
特に、身元引受人のいない受刑者は、外に出て行っても生活が成り立たないので、
再び何かをして刑務所に帰ってくるというケースも多いようです。

でも、生きていくうえなら、仕方のない選択なのかもしれない。
今の日本は、障害者の企業受け入れも、一応法律で決められており、
全社員の1.8%以上になるように障害者を雇用しなければならないようなのデスが、
それをやらなかった罰則も大したものじゃないんです。
はっきり言って、障害者を雇うよりも、罰金払っている方が安い。
そもそも、障害者って言うだけでも就職が厳しいのに、
ましてや「犯罪者」の経歴までついたら、採用への悪条件ダブルパンチ。

今のこのご時世では雇ってもらえる訳でもなく、
かといって生活もしていかないといけない。

残った選択肢はただ一つ。
行動の自由は奪われるけど、「三食仕事つき」の「刑務所」に帰ってくるしかない。
これは健常者でも同じようです。
そりゃそうだな。
「懲役」喰らった人間を、好き好んで雇用する企業なんかそうはないだろうから。
ただでさえ、人の揚げ足を取って社員を減らしたい企業ばかりなのに、
そんな「いわくつき」の人間を雇用する会社は無いだろう。
で、結局生活できないから罪を犯して刑務所へ…。
そんな「マイナス方向へのスパイラル」が
確実に働いているのが今の世の中だそうです。

犯罪を犯す人全員が「悪者」という訳ではなく、
中には当然止むに止まれぬ理由で殺してしまった人もいる。
殺人を肯定するつもりは無いんだけど。

そんな出所して来た人を経済的に保護できるようになると、
刑務所に戻っていく人も減って、刑務所も定員以内に収まるのかなぁ。
そんなことを思いました。

で、著者は出所してから資格を取りたいそうで、その資格について調べてみると
「出所後2年」しないと取れないそうなんだわ。
「逮捕歴のある人はダメ」という資格もあるし、
当然「逮捕された瞬間、剥奪される」という資格もある。
事実、私が持っているAFPは「逮捕されたら剥奪」だし。
著者もそう思ったようですが、やっぱり「犯罪者」への風当たりは強いです。
ま、世間的に言う「悪者」だから、仕方ないのでしょうけど…。

結論から言うと、この本なのデスが、
自分の全く分からない世界に飛び込んで、その詳細が書かれている。
そのような観点からこの本を読むと、かなりいい読み物だと思います。
今、快調に読み進めている最中です♪

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年7月  >>
293012345
6789101112
13141516171819
20212223242526
272829303112

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

この日記について

日記内を検索